昨年は二宮健監督の「リミスリ」にハマり、
今年始まったばかりで、来ました「チワワちゃん」。同じく二宮監督作品で、否が応でも期待高まる中、期待通りの甘美な映像を見せてくれる二宮健!わっしょい、二宮監督!
映画「チワワちゃん」
岡崎京子さんの短編漫画を現代風にアレンジして映像化したもの。
東京湾に浮かんだバラバラ死体の身元が判明した。看護学校性の千脇良子。
ミキ(門脇麦)は最初その身元が、自分たちがあの時、毎日のように騒いで馬鹿話をして恋をして・・・その輪の中心にいた「チワワちゃん」とは気づかなかった。ミキは初めて、チワワちゃんのこと何も知らなかったこと、それは本名ですら、ということに気づく。
追悼記事を書きたいと接触してきたライターにより、かつての仲間からチワワちゃんの話を聞きに回るミキ。そこにはまだまだ自分の知らないチワワちゃんのいろんな顔があった。
ずっと仲良し、こんなに楽しくて気があうんだもん、ちょっと喧嘩してもすぐに仲直りして、そんな仲間たちと気づけば会わなくなっている。みんなそれぞれに大人になって、それぞれに事情が異なっていって。
そんな記憶誰しもあると思う。
それがチワワちゃんたちみたいに爆発的な高まりでなかったとしても、「すげーたのしー!!」と心から思えて、ずっとこれが続くだろうと信じていたあの時。
大事な仲間ということは変わらないけれど、時間も未来もたっぷりあったあの頃とは時の流れが変わってしまう。そのことに寂しさすら感じないままに月日は飛ぶように流れていく。
その流れの中で1人、愛を求めて切望して、必死でもがいて苦しくても笑っていた顔、チワワちゃん。
もうチワワちゃんがこの世にいない、というところからスタートする物語はチワワちゃんが弾けたように笑えばそれだけ、恋に傷ついて無茶苦茶に暴走すればするほど、悲しみは募っていってどんどん胸が締め付けられていく。
みんな悲しい、それはミキも、カツオくんも、ナガイも、元彼のヨシダくんも。悲しみ方がそれぞれに違って、でも一番楽しい記憶にいつもチワワがいる。
この映像は二宮監督にしか撮れない世界観。現在過去未来を自由に行き来し、感情のまま突っ走っていく疾走感とともに、甘くてポップな時間が時に遊び心を含んでどんどん膨らんで膨らんで、最後にパチンと弾ける。
弾け飛んだ時間にはみんなのいろんな顔がある。そして今、あの頃とは少し違う仲間がいる。
ミキは確かに、チワワちゃんを見ていた。チワワちゃんが存在した、そのことが忘れ去られたとしても、過去に浮かぶ切ない時間がごっそり奪われるわけではない。チワワちゃんは大人になれなかった、なりたかったのかもわからない、けれど彼女は彼女なりに未来は見ていたはずだ。それは涙などでは消えたりしないけれど、時とともに人の記憶からは色を失っていくのだろう。
浅野忠信が、なんだか往年の配役を思い出すかのような嫌味な天才(?)カメラマン、ジョーを演じていて秀逸、コミカルな顔もまたよろし。
それにしても門脇麦ちゃんうまいなー、成田凌くんもすごく良かった。
エロティック満載だけれど、胸の奥がキュンと鳴くような、そういう色がありました。
またまた次の作品が楽しみになってしまうなー、二宮監督!
まだまだ私の中で「チワワちゃん」熱高まっておるのだ。
岡崎京子さんってあまり読んだことないんですよねぇ。世代的にはそんなにずれていないと思うのだけれど、紡木たくとかいくえみ綾に夢中だったので。
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