2019年の映画初めは「去年の冬、きみと別れ」。
ミステリーにカテゴリーするなら、おしゃれで上質。ただし、主人公の岩田剛典さんが私のイメージからするとちょっと清潔感あり過ぎて・・・この主人公邪雲には、個人的には池松壮亮さんが良かったかなー。
結婚を目前に控え、本を出版したいと目論むフリーライター邪雲(岩田剛典)は、小林(北村一輝)が編集者である雑誌にある企画を持ち込む。
それは木原坂というミステリアスな天才カメラマン(斎藤工)が起こした事件の真相に関わるものだった。
木原坂は大きな賞を受賞したものの、最近では執行猶予になったモデル焼死事件以降増えた瑣末な仕事をこなす日々。邪雲は木原坂の危険な欲望を見透かすように、彼の周囲をつぶさに取材してその真の顔に迫ろうと取材にのめり込む。
その鬼気迫る熱意は、邪雲の顔を狂気に変貌させていく。
邪雲は木原坂に翻弄され己を見失っていくのか、果たして・・・
キーとなるのは木原坂に近づきその身を危険にさらしてしまう女の存在。焼死したモデルは全盲の女で監禁されていたのではという疑惑も燻るが、独特な絆で結ばれている木原坂姉弟により真相はうやむやされてしまう。
そして木原坂の次なるターゲットとなるのは、邪雲の婚約者百合子(山本美月)。高校時代の同級生の話によると、木原坂は他人のものに執着する癖があるのだと言う。不覚にも木原坂に婚約者を紹介する羽目になった邪雲は木原坂の思惑に気づくが・・・
最後の最後までこのタイトルの意味が闇の中に沈んだようにわからないのですが、プカリと浮かんだ真実にはミステリーの一番いい上澄みを舐めたような上質な味がしました。
美男美女の中、普通の人を演じた北村一輝。心を乱される過去を抱え、秘密の関係に苦悩する男をエロティックに表現していて秀逸。
人が狂おしいほどに本気で人を愛するとき、人が本気で人を貶めようとするとき、周囲を強烈に巻き込む悲劇が生まれるのだと思う。
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