2012年の映画「I'M FLASH!」

以前観ていたのですが、再鑑賞の映画「I'M FLASH!」。

何となくいい映画だったなと言う印象だけが残っていました。

「ライフイズビューティフル」と言う多数の信者を抱える新興宗教、その若き教祖で女性信者の心を掴んでいる吉野ルイ(藤原竜也)。

イエスマンばかりが周囲を覆う毎日に退屈していたところ、ある店で美女流美(水原希子)と出会いたちまちに興味を持ちドライブに出かける。

流美の正体を知った途端に自らの存在に疑問を持ち始めたルイ、そのときに起こした事故で若い青年を死亡させ、流美を瀕死の重体に陥らせてしまう。

祖父が作った教団をそのまま継ぎ、信者獲得のために教祖を演じてきた人生に疑問を持ち始めるルイ。そんな彼は事故の真相を追うマスコミや警察から逃れるために南の島に送られ、ボディガードとして３人の男(松田龍平他)が雇われた。

神とは何か、人の死とは何だろうか。

教祖として様々に人生の摂理を解いてきたルイは初めてさまよい、苦しむ。

新興宗教と言うものは、様々な事件が起こったこともあり、偏見を持って見られることもあるし、信じるものにとっては救いとなる。

その世界を神とされ信じられる存在として常に頂上に君臨することを使命とし、それに沿うように己を律してきた人間の側に立ち、彼らは果たして悟り、未来をはっきり見据えているのだろうかと言うところに焦点を置いた作品のように思えます。

決して完璧ではない人間という器の中で、いかに人を魅了し、どう見られれば得をするのか、常にその視線に晒され、振り返ることなど到底できない状況でひたすらトップで走り続ける。その過酷さとストレスを一手に引き受け苦悩する男を藤原竜也が繊細に演じ、教祖という空虚な生き物を非常にリアリティに溢れる存在として表現しています。

監督は豊田利晃監督。

他には「ポルノスター」、「ナインソウルズ」、「青い春」などを監督された方で、松田龍平さんが好きな監督さんなのかな。

あ、キョンキョンの出演した「空中庭園」も豊田さんの作品のようですね。人の気持ちの痛々しいところを非常に熱心に時に冷静に観察される監督さん、というイメージです。

「I'M FLASH」はタイトルバックの音楽もいい。最後まで楽しんでください。